猫の耳だれ・耳漏が止まらないときに考えたい病気|炎症性ポリープと中耳炎について
外耳炎だけでなく、炎症性ポリープや中耳炎が隠れていることがあります
猫の耳から膿のような耳だれが出る、耳垢が増える、においが強い、頭をよく振る、耳を触ると嫌がる。
このような症状がある場合、まず外耳炎が疑われます。
しかし、点耳薬や耳掃除をしてもなかなか良くならない、何度も再発する、片側だけ耳漏が続く場合には、耳の奥に原因が隠れていることがあります。猫では、中耳炎や炎症性ポリープが関係していることがあります。
当院では、耳の奥を詳しく確認するためのオトスコープを備えており、治りにくい耳漏や外耳炎を繰り返す猫の診療にも対応しています。必要に応じて、皮膚科・耳科診療を専門的に行う獣医師や二次診療施設と連携しながら、検査・治療方針を検討します。
こんな耳の症状がある場合はご相談ください
次のような症状がある場合、単純な耳垢や軽い外耳炎だけではなく、中耳炎や炎症性ポリープなど、耳の奥の病気が関係していることがあります。
・耳だれ、耳漏が続く
・膿のような分泌物が出る
・耳垢が多い、においが強い
・耳をかゆがる、痛がる
・頭をよく振る
・耳を床や足でこすろうとする
・片側だけ症状が強い
・治療しても耳漏や外耳炎を繰り返す
・耳道が腫れて狭くなっている
・耳の奥を触られるのを強く嫌がる
・頭が傾く
・ふらつく、まっすぐ歩けない
・眼が左右に揺れる
・第三眼瞼が出る、瞳孔の大きさが左右で違う
特に、耳漏が長く続く場合、片側だけ症状が強い場合、治療しても再発する場合、頭の傾きやふらつきがある場合には、耳の奥にある中耳や内耳の病気が関係している可能性があります。
炎症性ポリープとは
炎症性ポリープは、猫の耳の奥や中耳付近に関係することがある、良性の炎症性のしこりです。
「良性」といっても、耳道をふさいだり、中耳炎の原因になったりすることがあるため、放置してよい病気ではありません。
ポリープが耳の方向に伸びると、耳漏、耳垢、耳の痛み、頭を振る、外耳炎を繰り返すなどの症状が出ることがあります。耳の奥の炎症が強い場合には、頭の傾き、ふらつき、眼振、第三眼瞼の突出などがみられることもあります。
炎症性ポリープは比較的若い猫でみられることが多いとされていますが、年齢だけで完全に否定できる病気ではありません。耳漏が長引く場合や治療をしても再発する場合には、耳の奥まで確認することが大切です。
なお、炎症性ポリープは鼻やのどの奥に症状を出すこともありますが、この記事では耳漏や外耳炎を繰り返す場合を中心に説明しています。
耳の奥まで確認する検査が大切です
耳漏が多い場合、耳の入口だけを見ても原因がわからないことがあります。
炎症性ポリープや中耳炎が疑われる場合には、耳道の奥、鼓膜、中耳の状態を確認する必要があります。
診察では、レントゲン検査、耳垢検査、細菌や酵母の確認などを行います。
場合によってはCTスキャンなどの特殊検査をお勧めすることもあります。
耳道内の詳しい観察が必要な場合には、オトスコープを用いて耳の中を拡大して確認します。
オトスコープ検査は基本麻酔下になります。麻酔リスクをしっかり確認して行います。
オトスコープ検査では、必要に応じ耳道内の洗浄、病変の確認を行います。
見た目がポリープのようでも、腫瘍など別の病気と区別が必要になることがあります。そのため、摘出した組織を病理検査に提出することをお勧めしています。

治療は原因と耳の奥の状態によって変わります
炎症性ポリープが確認された場合、基本的にはポリープの摘出を検討します。
ただし、ポリープの根元が中耳側に残ると再発することがあります。
耳道に出ている部分を取り除くだけで改善することもありますが、中耳の病変が強い場合や再発を繰り返す場合には、鼓室胞という中耳の骨の部分への外科処置が必要になることもあります。
治療には、抗菌薬、抗炎症薬、耳洗浄、ポリープ摘出、病理検査、画像検査などを組み合わせる場合があります。
ただし、抗菌薬や点耳薬だけでポリープそのものがなくなるわけではありません。一時的に耳漏が減っても、原因が残っていると再発することがあります。

当院での耳の診療について
当院では、耳道内を詳しく確認するためのオトスコープを備えています。
通常の耳鏡では確認しにくい耳道の奥、鼓膜周囲、耳道内の異物やポリープ状病変などを、必要に応じて拡大して観察します。
また、猫の炎症性ポリープや治りにくい耳漏について、オトスコープを用いた観察・処置、診断・治療相談、必要応じて専門医の先生との連携を行っています。
病変の場所、中耳の状態、画像検査や外科処置の必要性によっては、二次診療施設での検査・治療をご提案する場合があります。
当院で対応できる検査・処置と、二次診療施設での検査・手術が望ましい場合を見極めながら、猫にとって適切な治療につなげることを大切にしています。
ご自宅での無理な耳掃除は避けてください
耳だれが多いと、綿棒や洗浄液で掃除したくなるかもしれません。
しかし、鼓膜に異常がある場合や中耳炎がある場合、自己判断で耳洗浄や点耳薬を使うと、かえって悪化することがあります。
特に、耳を強く痛がる、耳漏が膿のように多い、頭が傾いている、ふらつきがある場合は、ご自宅で無理に処置せず、診察を受けてください。
まとめ
猫の耳漏が続く場合、外耳炎だけでなく、中耳炎や炎症性ポリープが隠れていることがあります。
特に、治療しても再発する、片側だけ症状が続く、頭が傾く、ふらつきがある場合には、耳の奥まで含めた評価が必要です。
当院では、症状に応じて耳鏡検査、耳垢検査、オトスコープによる耳道内の観察、鎮静または全身麻酔下での処置、病理検査、画像検査、専門施設との連携などを検討します。
治療内容は、年齢、症状、耳道や鼓膜の状態、中耳病変の有無によって異なります。
診察後に、考えられる病気、必要な検査、治療の選択肢、鎮静・麻酔や処置のリスク、費用の目安についてご説明します。
※費用は診察内容、検査や処置内容などによって異なります。詳しくは診察時にご相談ください。
※鎮静、全身麻酔、外科処置には、体調や基礎疾患に応じたリスクがあります。
※耳漏が続く場合や、治療しても再発する場合は、耳の奥の病気が隠れている可能性があります。気になる症状があればご相談ください。
